『資料』 厚生省調査・SIDS危険因子「うつぶせ寝」「親の喫煙」「人工栄養」 1998.6.10 厚生福祉より抜粋 元気だった赤ちゃんが何の前触れもなく死亡する乳幼児突然死症候群(SIDS)に関する要因を調べていた厚生省の研究班は1日、「うつぶせ寝」「親の喫煙」「人工栄養」が危険因子である可能性が確認されたとの調査結果をまとめた。 厚生省によると、調査は1996年1月から97年6月末までに、SIDSで死亡した約800人を抽出。出生時の状況、普段の寝かせ方、母乳かミルクか、両親の喫煙状況など育児環境について聞き取り調査をし、生年月日や住所が近い健康な赤ちゃんと比較した。 このうち377人について、それぞれの要因に統計的な検討を加えた結果、「うつぶせ」は「あおむけ」の約3倍、粉ミルクなどの「人工栄養」は「母乳」の約5倍、「父母ともに喫煙習慣あり」は「父母ともに習慣なし」の約5倍、それぞれ危険性が高まることが分かった。 「乳幼児突然死」撲滅への道 1998.8.26 読売新聞《論点》より抜粋 新生児の研究から、うつぶせ寝は仰向け寝より呼吸がしやすく、胃のミルクが腸に移行しやすいことや保温に優れていることなどが明らかにされ、まず1950年代に米国において小児科医の指導で広く普及した。 わが国では80年代に入り、頭の形やスタイルが良くなるという考えからうつぶせ寝が紹介され、ブームのように広がった。現在では米国においても赤ちゃんの睡眠姿勢はあおむけ寝に変わりつつある。 SIDSはこれまでの研究の積み重ねで、「呼吸を調節する機能が未熟なため、睡眠時に起こる無呼吸からの回復が遅れることによって発生する疾患」であることが明らかになっている。SIDSはこのようにどの赤ちゃんにも起こりうる疾患であるが、弱い子と強い子がいるように、なりやすい赤ちゃんがいるのは事実であり、そのリスクのある子を選び出すのがこれからの研究課題の一つである。 SIDSのリスクを高める育児環境(うつぶせ寝、親の喫煙、母乳以外の栄養法)も幾つか明らかになっており、それらに配慮した育児を行えばSIDSはもっと少なくなるはずである。 しかし、重要なのは、うつぶせ寝の子でも1,000人中、999人はSIDSにならず、またあおむけ寝でもSIDSは起こりうる点であり、うつぶせ寝は窒息を起こしやすいためSIDSになりやすいと考えるのは誤りである。うつぶせ寝の方が無呼吸からの覚醒反応がより遅れることが示唆されているが、なぜうつぶせ寝にSIDSが多いかはまだ不明なのである。 当然、赤ちゃんの命にかかわることであり少しでも危険なことを避けるべきであるが、うつぶせ寝を絶対してはいけないというのではなく、医学的な理由や育児上の理由でうつぶせ寝にすることもありうる。すなわち、うつぶせ寝にSIDSのリスクが高いことを知りつつ、どちらにするかを選択すれば、それなりの注意を払った育児が行われ、SIDSの発生を少なくすることは可能であろう。 |
||||
子育て情報のページ |