宮崎医科大学 耳鼻咽喉科学教室 松田圭二先生より、第2回目の投稿をいただきました。



  宮崎医科大学 耳鼻咽喉科学教室 松田圭二




第2回 扁桃腺の話

ーモンドのことを日本語で扁桃といいます。扁桃は口や鼻から入ってきたバイ菌から体を守る働きがある白血球がたくさん集まった組織です。そのため、食べ物や吸気の入り口である咽頭を取り囲むようにに輪状に発達しています。扁桃は場所によって名称が異なります。まず、鼻の奥にあるものがアデノイド(咽頭扁桃、口を開けただけでは見えません)、口を開けたときにのどちんこの両脇に見えるのが口蓋扁桃(普通、扁桃腺といえばこれを指す)、舌の根本にあるのが舌扁桃です。こどもさんで問題となるのは、このうちのアデノイドと口蓋扁桃(よく言う扁桃腺)です。

扁桃は一生のうちに大きくなる年頃があり、自然に小さくなる性質があります。これを扁桃の生理的肥大といい病的肥大とは区別します。
口蓋扁桃(いわゆる扁桃腺) 口を開けたとき左右に一つづつある。9歳前後に最大になり、その後小さくなる。
咽頭扁桃(アデノイド) 鼻の奥(上咽頭)にある。4〜6歳頃最大になる。
舌 扁 桃 舌の付け根にある。通常40歳以降に最大になる。


扁桃の病的肥大
桃は前述のように生理的に最大に肥大する時期があります。しかし肥大が高度になると空気や食べ物の通り道が狭くなり様々な障害が表に出てきます。以下のような症状は病的でその目でみれば一目瞭然です。
アデノイドが肥大すると鼻からの空気の通り道が奥の方で狭くなり、鼻がつまりいつも口をポカンとあけている顔つきになってきます(アデノイド顔貌)。この様なこどもさんは、寝汗をかき、いびきも大きく、夜中に突然起きあがったり(夜驚症)、寝ている最中に息が止まったりなど(睡眠時無呼吸)、寝ているときも苦しそうにみえます。また、食べるのに時間がかかり、概して小食で水ばかり飲んでいるといった具合で、これは扁桃腺が肥大して食べ物の通り道が狭くなったために起こる症状です。
またアデノイド肥大は中耳炎の慢性化とも関連があるといわれています。

手術の適応症

1)上記の様な通過障害が高度であるとき
2)年に4回以上、急性扁桃炎を起こし高熱を出すようなとき(習慣性扁桃炎)
3)中耳炎の慢性化への関連が疑われる場合
以上のような場合には手術でアデノイドと扁桃腺を取ってしまうと劇的に症状が改善します。


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